☆ 目次 ☆

デラドゥン

デラドゥンからデリーへ戻る列車に乗らなければ行けない日の朝、
目覚めるとベットが飛び出して、カーテンを開けて外を見ました。
なんと残酷にもまだ雨がしとしと降っていました。
雨期の終わったこの時期に3日も続けて雨が降るなんて、、、、想定外
ガン・ヒルに登ってヒマラヤを見る希望はとうとう果たされないまま
この町を離れなくてはいけません。
この鬱陶しい雨のせいでとうとう好きになれなかったムスーリー、、。
さっさと山を降りてデラドゥンを歩こう、、、それしか無いと思いました。

チェックアウト後、ホテルに呼んでもらったタクシー(軽自動車のワゴン)に
乗って、来た道と同じイロハ坂をぐいぐい下って行きます。
お世辞にも綺麗とは言えないボロいタクシーはとても頼りなく
ヴォンヴォンと息切れの様な音を立てて走ります。
白い深い霧が道路に満ちていました。
それはセンターラインがやっと見えるくらいの濃い霧で
私のネガティブなヴィジョンにはこの車がゴロンゴロンと崖を転がりながら
落ちて行くのが見えたりします,,,
でも中年のタクシードライバーさんは
「昨日や今日、このムスーリーのタクシー運転手になったんじゃないよ〜」
とせせら笑うかの様に、着実に坂を降りて行くのでした。

霧が晴れて、空気に熱を感じるようになった頃、
車はデラトゥンの町に入りました。約1時間半です。
デラドュンは行きも通った町ですが、賑やかなインドの地方都市。
車のクラクション、、、久しぶりに聞いた気がします。
ムスーリーはインドとは思えない位、静謐でしたので。

タクシーは無事、私達をデラドゥン駅まで送り届けてくれました。
料金は450Rs(約1125円)。
長時間はワインディングロードでしかも霧に遮られて、
さぞかし疲れたでしょう、とドライバーさんに100Rsのチップ。
彼は「ありがとう。」と笑ってくれました。
この国の人が感謝の意をこめてする、
お札を胸に当てるジェスチャーもしてくれました。

 デラドゥン駅

さて、駅に着いたらクロークサービスを探さなくちゃ、、、。
重たいリュックを背負っての町歩きはごめんなので、預かってもらうつもりです。
インドの大きい駅にはまず必ずあるクロークルーム。
原則、鍵の掛かる荷物しか預かってもらえないので私達のボロリュックには
一応ダイヤル式の鍵が付けられていました。
布を破かれたら全然意味のない、チャックが開かないようにしているだけの鍵です。
大勢の人がうろうろする駅の中、
目敏く見つけた娘が指差す方向にクロークサービスがありました。
カウンターで必要書類に記入して、荷物1つ10Rs(25円)でOK。
招き入れられたクロークルームに自分達で持ち込みます。
10帖程の部屋に棚が何段もあってそこに自分達の荷物を置きます。
なにやら天井付近をちょろちょろと動くものがあり、見ると小さなネズミでした。
可愛い〜
インドではネズミは、像の顔をした神・ガネーシャの乗り物、、。
日本程毛嫌いされていないのです。
ラジャスタン地方にはネズミが大切にされているネズミだらけの寺院もある位です。
私達が「ねずみ〜」と叫ぶと、クローク係のおじさんはニコニコ笑っているのでした。
「どこから来た?」
「日本」
「おー、そりゃ素晴らしい」と彼。
「インドも素晴らしいよ」と言うと彼もニコニコ。

クローク係りのおじさんは白いチョークでリュックに直接日付や整理番号を
何の躊躇も無く書き込みます。

これは以前、アジメールでもやられているので特に驚きゃぁしませんが、
高価なリュックなんかインドには甚だ不向きでありますね。
(いないか、、そんな奴)
荷物の引き換え券を貰ってから私達はデラドゥン駅を出てリキシャー乗り場へ。

さて、、とこで昼食を取りましょう、と子供達と相談。
タクシーで駅に来る道すがら見えたマクドナルドにしようと云う事にしました。
毎回インドに来る旅に必ず食べるチキン・マハラジャ・マック!
それ目当てです。
駅前で拾ったリキシャーでマックへ。
デラドゥンの町はムスーリーからは比較にならないくらいの喧噪にまみれています。
けたたましいクラクションと排気ガスの匂い。
むしろこっちの方がエネルギッシュで、インドらしくて好ましいです。

マックの入り口には警官が立っていて軽く荷物チェックされます。
マクドナルドってテロの標的にされたりする可能性があるのでしょうか、、、
それはさておき、マックは地元の学生さん達でとても混んでいました。
身なりの良い子達ばかりです。
それにしてもマックの店員さんはさすがマニュアル通りに良く教育されていますね〜
それまでのインド式チンタラ接客に慣れていたせいか、
スマイル0Rsテキパキと注文を取ってテキパキ釣り銭を渡す彼らを見て
とても気持ちの良さを感じた私は日本人、、。
しかし2年振りのチキン・マハラジャ・マックは美味しかったです。

話は遡りますが、リシュケシュからムスーリーへ行く時も私達は
ここデラドゥンで休憩したのですが、その時の場所はピザ・ハット
こういう外資系の店は世界標準の味を出しますので、ある程度のレベルを保ててます。
インドの味に疲れた時はとても助かるのでした。
おまけにトイレも綺麗なので安心です。

マックを出た私達は駅の方に向かって歩き出しました。
特に目的もなくぶらぶら歩いて、デリー行きの列車が出る17時まで
時間を潰すつもりでした。
マックを出た直後、しつこい子供の物乞いに付きまとわれました。
久しぶりのしつこさです。
以前アジメールでかなりしつこい物乞いの女性に付きまとわれて本気で
ブチ切れした事があり、我ながら反省!の記憶ですが
それ以来のしつこさ、、、
インドの物乞いの人への対応は実際どうするのがベストなのか、、、
色々意見はあるでしようが、昔20代の頃、
ネパールでしつこい子供の物乞いに付きまとわれて仕方なく幾ばくかの
お金を渡してしまった事がありました。
するとその子供が「あの人くれるよ〜」的な情報を仲間に流したらしく
自分に群がる物乞いの数を逆に増やしてしまった事があります。
その反省の上に立ち、以後「絶対にあげない」
というスタンスを貫く事にしています。

さて、デラドゥンのメインストリートを少し外れて脇道に入ると、
そこはワクワクする様なバザールなのでした。
その日は土曜日だったせいもあるのか人通りも多く、
華やかで活気に満ちています。
観光客への呼び込み等も全く無く、気楽です。
もちろん町の人達は、あまり観光客の来ない場所を歩いている私達へ、
好奇の眼を容赦なく浴びせて来るのですが、、、
でも大抵の人はじっと見ているその好奇の眼に、
私達が微笑みで返せば同じ様に微笑んでくれるのです。

 八百屋さん

 ベロ〜ン〜

総菜屋の店先の鉄板を通りすがりの牛がベローンベローンなめていました。
お店の人は奥でおしゃべりしていて気が付きません。
大きな牛タンが鉄板の油をなめ取っている様は戦慄です。
みるみる鉄板は、それこそ「なめた様に」綺麗になりました、、、。
しかし、あの鉄板で焼いた料理は食べたくないわ。

ぶらぶら歩いていたら緑色のミナレットが見えて来ました。
近くにモスクがある様です。
ムスリムの特徴的な、眼だけ出した服を着た女性も道を行きます。
やっぱりこういうエキゾチックな町の方が歩いていて楽しいです。
観光客向けのムスーリーのモールは正直,私にはつまらなかったです。

やがて本屋が連なっているエリアに差しかかりました。
インドの本屋の本の並べ方は面白いですね。
こんなに積み上げたら取り出し難くないのかな、、、と思いますけどね。
息子が本屋を見たいと言うので近づいてみると、そこは教科書屋でした。
息子は店員に「数学の教科書を見せてくれませんか。」と言いました。
すると彼は「どのレベル?」と聞くので
「大学レベルで。」と息子は頼んだのですが、出て来た本を見て私達はビックリ。
タウンページも真っ青!と言うくらいの大きさと厚さ。
しかも、中身はほとんど解らない〜。
かろうじてsine、cosine、tangentとかがビッシリなのは解りましたが、、、。
「インドの数学はレベル高いのよね。」と私が言うと、
彼は「そうだ。」とニッコリ微笑むのでした。

結構時間をかけてデラドゥンの町歩きを楽しんでいたのですが、
あっという間にデリー行きの列車の1時間前になっていました。
もっと見たい!もっと歩きたい!という気持ちをぐっと堪えて,
近くにいたリキシャーをひろって駅へ戻る事にしたのでした、、、。
デラドゥン。楽しかったです。